ラッキーピエロとおとぎの国

今函館を訪れる観光客に大人気なのが、
ラッキーピエロと言うハンバーガーショップ。
今はもうハンバーガーショップと言うよりレストランなのかな。

ラッキーピエロHPより
このローカルハンバーガーチェーンを率いていたのが、
函館人なら知る人ぞ知る王一郎社長。
かつての「おとぎの国チェーン」の経営者だ。

’70年代から’80年代にかけて、
飲食業で函館の若者の心をガッチリ掴んだおとぎの国チェーン。

居酒屋「たこたこあがれ」
カフェバー「ジャックの豆の木」
ディスコ「テニス・レディ」
ラーメン「ぶんぶく茶釜」
ファミレス「ポパイのほうれん草」

その当時の函館にしては群を抜いて先を行くキャッチ―な店名。
店の運営も、東京から大手のチェーンが入り込む以前から、
他にない独特の形態をとっていて、
あの時点で既に独自のマニュアルを持っていたのが印象的だった。

各店に共通して「ようこそ、いらっしゃいませ」というと言う出迎えの言葉があった。
それがマニュアルとしての不快さを感じさせなかったのは、
従業員一人一人にそういう気持ちがあったからだろう。
言い換えれば、王社長が従業員を大切にする気持ちがあったからだと思う

社長が従業員を大切に想えば、
その理念は単なる文言としてではなく伝わる。
だから全店共通の「ようこそ、いらっしゃいませ」が、
マニュアル通りの心の無い言葉には聞こえなかったんだなぁ、きっと。

このおとぎの国チェーンも、バブル崩壊の影響や、函館という街自体の衰退もあって、
ファミレス「ポパイのほうれん草」を残して次々と閉店。
しかし機を見るに敏な王社長。
旧体制をシャットダウンしながら、水面下で新しい動きを始めていたのだった。

それが今や全国区となったラッキーピエロの出店。
その1号店を函館の観光拠点ともいえるベイエリアにオープン。
全国チェーンのハンバーガーショップには無い独自のメニューで、
まずは地元民の心をガッチリ鷲掴みしてしまった。
人気は口コミでどんどん広がって、店舗は増えて今や17店舗。

ラッキーピエロHPより
王社長は地産地消を大切にして事業を展開。
「ようこそ、いらっしゃいませ」の柔らかい雰囲気と、徹底したした品質管理が、
他のファストフード店には無い安心感や、ゆったりとした時間を生み出す。

今現在、世界中が必死に立ち向かっているSARS-COV-2ウイルス対策に関しても、
2代目社長である王未来さんが、お持ち帰り用に「備蓄しあわせセット」なるものを考案。
王さん自身が中国系であることから、
早くからしっかりとした情報が入っていたのかも知れないが、
飲食店ではなかなか使う事の無いであろう「備蓄」という単語を入れたセット。

こういうところが、お客さん思いの王さんらしいところだなぁと思う。
機を見るに敏ではあるが、人の弱みに付け込むのとは違う、
それは今までの王さんの仕事を見ていれば分かる。

SARS-COV-2が収束して、またいつか函館に行ったら、
滞在中に一回は、ここで食事をさせてもらうつもりだ。

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