北海道でラーメンと言えば、
札幌の味噌、旭川の醤油、函館の塩が古くからの定番。
俺ぁ函館で生まれ育ったから、ラーメンと言えば塩味だった。
けど途中から札幌の味噌が好きになったんだわ。
ニンニクが効いたコッテリとした味噌スープにやられるしょや、若人はw
まぁでも、歳とると昔が懐かしくもなるし、コッテリばっかりだと体が参るからさ、
函館の塩ラーメンや、昔行ったラーメン屋が恋しくなるのよね。
何が好きなのかよく分からない俺の亡き親父だったけどね、
職場の昼休みに外で食べるラーメンや蕎麦は好きだったらしくて、
たまに俺ら家族をいきつけの店に連れて行ってくれたんだわ。
かすかに覚えている店があって、それは大門は祇園通りにあった「寿楽」ってラーメン屋。
店のガラスに覆面レスラーみたいな顔のイラストが描いてあったんだけど、
あれはなんだったのか…
何回か行ったのはちっちゃい頃だったから、味なんかは全く覚えていないが…
他にも親父に連れて行ってもらった店はあって、
そこへは自分で働くようになってから何度も通った。
一軒は「王さん」で、もう一軒は「紅蘭」。
どっちも駅前と五稜郭に本店、支店があったんだけど、
俺は当時職場が五稜郭にあったから、昼飯を食いに五稜郭の方に通ってた。
王さんは炒飯が好きだったなぁ~♪
つぶ貝が入ってたのよね。肉も叉焼じゃなくて細切れの豚肉だった。
ラーメンはね、白菜の入った餡かけの味噌ラーメンが思い出だな。
いまだに真似して自分で作ってるもの。
紅蘭では塩ラーメンと餃子をよく食った。
紅蘭の塩ラーメンは出汁が効いてて美味かった~♪
酢豚定食もよく食ったな。
だけども、この二軒の老舗は、今はもう無い。
函館駅前の方の王さんは、数年前まで営業してたけど、
やっぱし後継者がいなかったんだろうね。残念。
そして函館駅前地区に今もある俺がお世話になったライヴハウス「あうん堂」の隣りに、
「汪さん」という中華屋があった。
前出のは「おうさん」で、こっちは「ワンさん」。
華僑のおばあちゃんが仕切ってた店で、
日本風の中華から、本格的な中華まで食べる事が出来た店。
ガッチリ焼いた焼きそばの餡かけが美味かったなぁ~。
あと炒飯も好きだった。
料理長が使ってた丸太のまな板と中国のゴッツイ包丁も格好良かった♪
いつだったか家族で昼ご飯を食べに行ったらさぁ、
おばあちゃんが喪服姿で接客してて、
「どうしたんですか?」って聞いたら、
「大切な人が亡くなった。でも私、働くよ~」って、
涙をふきふき注文を聞いてくれたのが俺の想い出だ。
ここも何年か前に閉店しちゃった。
函館の塩ラーメンと言えば、あっさりとしたスープ。
ホント、あっさりとしたスープの塩ラーメンが美味かった十字街の鳳来軒も、
その昔はカフェで、
その時のまんまの名前で
函館の塩ラーメンらしい塩ラーメンを食べさせてくれていた来々軒も、
残念ながら数年前に閉店。
若い人たちがニュータイプの函館ラーメンを作ったり、
「なんとか系」なんていうよく分からんラーメン屋が進出している函館で、
昔ながらの函館ラーメンを食べさせてくれる店は今何軒あるべか?
昔はさぁ、ことさらグルメだなんだって言わなくっても、
職人がガッチリ仕事して、美味い料理を食わせてくれる店がいっぱいあったんだよな。
「ワンコインでランチが!!」なんて言う馬鹿が増えちゃったからね。
本当に美味しい店がどんどん消えていくよね。