韓国ドラマ「記憶~愛する人へ~」 弱者になって初めて知る弱者の立場

金や名誉の為なら、ありとあらゆるコネを使って権力に働きかけ、
担当する悪徳企業の犯罪さえも揉み消してしまうローファーム。
そこで活躍していた切れ者の男が、ある日弁護士としては致命的な自分の病を知る。
アルツハイマー。

人は自分が本当の窮地に陥った時に、初めて社会的弱者の立場を知り得る。
社会的な弱者は、社会に守られなければならない事に気が付くんだね。

権力者の横暴を許していたせいで、とてつもない数の人々が苦しんで来た。
自分は法律家でありながら、強者につき弱者を苦しめる仕事に生きがいを感じていた。
自分が弱者になって初めてその事実に気付いた彼は、巨悪に立ち向かう弁護士に生まれ変わる。
その弁護士パク・テソクを演じるのは名優イ・ソンミンだ。

画像:tvn公式サイトより

周囲には自分の病気を隠し続けていた彼だったが、
家族で外出し、公園のベンチで待つ息子と娘にアイスクリームを買って戻ろうとした時、
二人がどこにいるのか全く思い出せなくなるほどの症状が出始める。

判事である前妻との間にもうけた息子を不慮の事故で亡くしてしまい、それが元で離婚。
しかし離婚前の、息子が生きていた幸せな時の記憶が混濁し出し、
自分の周囲の人々を巻き込んでしまうまでに症状は悪化。

でも弱さを自覚した一人の人間として生まれ変わった彼を、
彼の病気を知った彼を慕う後輩の若手弁護士、秘書、家族、そして前妻が支援し、
力を得た彼は、法律のプロとして、社会的弱者の為の仕事を全うする。

人間の存在価値というものを根底から問いかけるドラマだった。
散りばめられた各人のエピソードも、人としての個の在り方を考えさせられるものだった。

それをその「役」として演じるのではなく、
この物語の中で一人一人の人間としてしっかりと生きていた

キム・ジス、パク・ジニ、ヨ・フェヒョン、ナム・ダルム等の俳優陣からも、
「生身の人間」が持つ強いエネルギーを感じた。

「民主主義の国・韓国」の文化から生まれるドラマから学ぶ事は、実に多い。 

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