韓国で「魚卵」と呼ばれる食べ物とは? 全羅南道・霊岩郡の珍味

「キム・ヨンチョルの洞内一周」、2020年7月11日放送分は、
全羅南道・霊岩郡(영암군:yöng-am-gun)から。
いつもの様に洞内散策中のヨンチョル氏、
海辺でもないのに船がおかれている家を見つけて近づく。

中庭で何やら作業をしている男性に話しかける。
その人は최태군 (chwe-tegun)さん。
氏が以前ボラを獲っていた時に乗っていた船だそうで、
今はボラの卵を干して’어란’(ö-ran:魚卵)を作っているのだそうだ。
ボラの卵というと、日本にはカラスミがあるが、同じものなのだろうか。
※韓国語には2つの「オ」があり、오は日本語のオと同じ発音だが、
어の方は口は「あ」の形をして発音は「お」なので、
このブログでは、区別するために発音記号として〔ö〕を使う。

にしても「魚卵」て、なんだよ、魚の卵の事じゃないかと思ったら、
韓国では魚の卵の加工品も「魚卵」と言うのだそうだ。

さて今は船を降りて魚卵づくりをしていると言うチェ・テグンさん。
中庭でボラを解体し、卵を取り出す作業をしていた。

デカいボラだなぁ。
そのボラの腹をハサミで割いて、
これまた大きな卵を取り出して、丁寧に水洗いする。

これを乾燥させて、「魚卵」という食べ物を作る。

チェ・テグンさんが、干し棚を見せてくれた。
日が経って熟成しているボラの卵がズラッと並んでいる。

チェ・テグンさんが解説してくれた。
ボラの卵を、4月から2か月程干したものです。
15日が過ぎると、色が段々濃くなってきます。
更に鮮やかな紅色になり、1か月以上経つと、黒く変わっていきます。


右から、1日目、10日目、40日目。

卵を干す際には、ただ干すのではなく、
代々伝わる醤油に漬けてから仕上げていくのだという。
日本のカラスミは塩漬けだから、それとは別のやり方なんだな。

チェ・テグンさんは8代目の宗孫(始祖の跡を継いで来た宗家の当主)。
受け継いだ醤油は、240~250年ものなのだそうだ。


醤油が長い時を経ると岩塩の様に、こうなります。
醤油がしょっぱいと岩塩が大きくなり、醤油の塩度が低いと岩塩が溶けて…
と、チェ・デグンさん

継ぎ足した時に醤油が自分で塩分濃度調節をするとは凄い。
醤油が生きているんだな(¯ー¯)


これが熟成に熟成を重ねた秘伝の濃厚な醤油。
ヒョウタンを半分に割った柄杓がまたいいね~ (^^♪

さぁ、では魚卵づくりはどんな塩梅なのかな。
まずは取りだして洗った卵を、醤油に清酒を混ぜたタレに漬けこむ。

1日漬けこんだら、あとは自然の力と職人の愛情で仕上げていく。
外で天日干しをしながら、随時ごま油を塗り、味に深みを持たせる。
ごま油を使うのもカラスミとの大きな違いだ、

チェ・テグンさんは、この魚卵作りの伝統を、ハルモニ(祖母)から受け継いだ。

テグンさんが語る。
学校から帰るとハルモニがいつも練炭の火でご飯を温めて、
私の体調が悪かったりすると、
ご飯の上に魚卵を片方切ってのせて栄養補給をしてくれました。

学校に通っていた当時はハルモニが近くにいたので愛着があります。
その味をずっと覚えています。

その味を守るべく、
「細心の注意を払わないと良い魚卵は作れないからね」という
ハルモニの教えを守りながら、穏やかに、心を込めて仕事をする。

これは間違いなく美味しい物が出来上がるだろうなぁという仕事ぶり。

そして熟成し完成した卵を薄く切り分けていく。

見よ!! この驚くべきキメの細かさを\(^o^)/
しかも金ぴかじゃ~あ~りませんか♪

一口食べた案内人のキム・ヨンチョルさん。

口の中に香りが残って、唾液がずっと出続けます。
そして甘みだけが残りますね。
本当に貴重なものですね。

香りが残って唾液が出続けるなんて、どれほど旨味が強いんだろう。
伝統の職人技が生み出す至福の味の’어란’。
これは是非一度味わってみたい~!!

ネットで日本の韓国食材店を調べてみたけど全然無い。
やっぱり相当貴重なものなんだろうな。
しゃーないから、ボラ釣って来て自分で作ってみるか?( ̄皿 ̄)

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