シン・ヘソンが放つ韓国俳優の凄味

もし自分が、27歳の頃に突然親から…

あんたは実は財閥の子だ
ひとけのない道でしゃがんで泣いていた幼いあんたを拾って実の子として育てたのだ
今、実の親が現れたのだから戻るべきところに戻りなさい

と言われたら、どれだけ動揺するだろうか。
しかも自分には分身の様な二卵性双生児の妹がいて…
いや、その妹だと思っていた子は他人だし、
兄も弟も、父も母も他人だったんだ!!と知ったら…

KBS 황금빛 내 인생

この話には続きがある。
自分の出自を知り動揺したまま、なんとか財閥の娘になろうと努力を始めて、
やっと娘として認められそうになってきた頃に、
実は妹の方が財閥の娘だと知るのだ。

大きな悩みも無くノホホ~ンと暮らして来た妹ではなく、
家族の生活のために進学も諦め、苦労して働いて来た自分に楽をさせようとして、
両親が「あんたが財閥の娘だ」と偽っていた事を知ったら?

こういう複雑な心理描写をしなければならない役処を、
28歳で初めて主演の座に就いたシン・ヘソンはやってのけた。

実は妹の方が本当の娘だったと財閥の親に知られて、
騙した自分の両親もろともこてんぱんに罵られ、
家を追われた彼女は、人知れずとある漁村に身を隠して漁港で働いたり、
その後も苦労の連続だった主人公ジアンを見事に演じきったのだった。


KBS 황금빛 내 인생

辛さも力に変えながら前進したジアンが、最後に望みをかなえる物語が…

KBSドラマ「黄金の私の人生」だ。

余談になるけどもさぁ、このドラマでも、家族が本当の家族に見えるんだよね。
日本のドラマだと、実力不足の役者が多いってのもあるけど、
「このドラマの中で家族を演じてます」っていうのが画面に出てるのよ。

一方の韓国のドラマは、やっぱ役者がみんなしっかり演技を学んで仕事に就いてるから、
長寿ドラマでなくても、つーか映画であっても、本物の家族にしか見えないんだなぁ。
ここで書いてるシン・ヘソンも、小さい頃から役者志望で芸術高校に入学して演技を専攻。
大学でも映画芸術学科を専攻しているから、デビュー時には既に基礎が出来ていた。

さて、23歳でデビューし、主役に絡む役を得て存在感を表し出して、
2017年の「黄金の私の人生」で主役の座をつかんだ彼女が次に挑んだ役が、
なんと17歳の時に事故の為に深い眠りにつき、30歳で目覚めるバイオリニスト志望の女性。
肉体は30歳だけれど、精神的には17歳のままという、これまた難解な役どころだ。

SBSドラマ「30だけど17です」
さて、彼女はどんな芝居を見せてくれるのかと見始めたら、
目覚めた彼女は17歳なんだなぁ~。
目つき、体の動きから、他人の行動への反応まで、
その一つ一つが前のドラマの時とは全く違うシン・ヘソンがそこにいた。

何より驚いたのは、彼女の声ね。
「黄金の…」では、27歳相応のの少し落ち着きと重みのある声で話していたが、
発声の仕方をガラッと変えて、高いトーンで若さを醸し出していた。

見た目はさぁ、化粧や髪形なんかで若々しくできるけど、
演技で若い感じを出すってのは、下手すりゃわざとらしくなるからね。
それが全く嫌味無くできるってのは、しっかりとした役作りの結果なのだろう。
視聴者は、シン・ヘソンでも、全作のソ・ジアンでもない、
このドラマの中で生きているウ・ソリに出会えたと言うわけだ。

一作一作ごとに引き受けた役に没頭してなり切れる実力と、
慢心せずに役者としての高みを目指すプロ意識を併せ持った役者が、
シン・ヘソンの様に、こちらに凄味を感じさせるんだろうな。

貧乏故、無料配信でしか観れないので、次の作品にいつ出会えるかは分からないが、
また全く別人格の役に彼女がどうアプローチしてくるのか、期待大だ( ̄∇ ̄)v

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。