済州の神話に魅せられて

済州国際空港の北東に位置する海岸には、
「龍頭岩」という観光名所があるそうだ。
近くの龍淵渓谷に住んでいた龍がこの海岸から昇天しようとして、
岩となって固まってしまったという伝説があるんだって。


VISIT JEJU より

2019年8月24日放送の「キム・ヨンチョルの洞内一周」は済州島から。
さて、その奇岩を間近で見ていたヨンチョル氏。
海岸に続く階段を見つけて降りていくと、そこには先客が…。

外国のかただなぁと見て、’헬로’(Hello)と声をかけてみた。

すると’한국말 할 줄 알아요’(韓国語ができます)との応え。
あぁ、この言い方が出来る人は、日常会話に支障がない人だなぁと分かった。
羨ましいなぁ。なんでこんなに流暢なのかな。

取材慣れしている様だし、この人はタダものではないなと、
気になって彼女の名前”아그네 라티니테(Agne Latinyte)”で検索してみた。
分かりました。

彼女は済州の神話を絵にする企画を立ちあげ、
作品を世界に向けて発信しているリトアニア出身の画家でした。
2012年から交換留学で韓国と関わり、
2014年から済州島の原都心(원도심:wön-do-sim)暮らしを開始。
この放送時で済州島生活5年目。済州の言葉も話せるんだって。

「Agne Latinyte 그림」で検索すると作品を見る事が出来ます。
こちらでは作品の展示販売も。

そのアグネさん。
今はこの海岸に昔住んでいた龍を描きに来ているという。

「この龍は、神々の宝石を盗んで逃げて岩にされたので、問題児だったんです」と笑い、
この近くの龍が住む場所に行ってみましょうとヨンチョル氏を案内するアグネさん。
途中で「猿の橋」と地元で呼ばれている吊り橋に案内してくれた。

「龍淵雲橋(용연구름교:yong-yön-kurum-gyo)と言う橋で、
人が乗ると揺れて猿の様な動きになるんです」とアグネさん。
「韓国人より済州の事をご存じですねぇ」と驚くヨンチョル氏。

そしてここが、龍が棲むと言う龍淵渓谷。
龍がいると思わせる暗く深い水に引き付けられると言う。

済州の神話に魅せられたイラストレーターには、この水の中にいる龍が見えるようだ。

この渓谷を見てると、どれ程長い龍がいるのだろうと思ってしまいます。


済州の良さを海外に発信したいのと同時に、

地元の人にも済州のこんなところを知っているか聞いてみたいです。
私の前世は済州の人だったみたいです。
と笑うアグネさんが次に案内してくれたのは済州邑城。

石で造られていてとても大きく、格好いいでしょう?
水原の華城(화성:hwa-söng)の様に,済州にも城があるんですよ。

アグネさんの言う通り荘厳な造りの「済州邑城(제주읍성:je-ju-up-söng
)」は、
済州牧官衙とその周辺を取り囲む城で、
1105年の高麗時代に耽羅国の城郭を利用して築城された。

更にアグネさんが「皆さんよく知らないけれど…」と歩き出す。
なんと住宅街の一角にあったのは、邑城西門の礎石だった。
今は鉢植えが置かれて、対になっている方の石も無くなってしまったが、
ここには元々西門があったのだと言う。
確かに、城の門にふさわしい、雰囲気のある石だ。

「このあたりの人は何も知らず植木鉢を置いているんですよ。

案内板でもあれば、みんな私の言葉を信じるのに、
今はほとんど信じられないと思います」とアグネさん。

済州邑城は朝鮮時代末期まで維持されたが、
1910年、日帝が下した邑城撤廃令により取り壊され、その大部分を失う。
かろうじて残ったのがこの西門なのだ。

城の残骸は、築港工事で海を埋め立てる為の骨材として使われたと言う。

韓国を歩いていると必ずと行っていいほど出会う日帝時代の影がここにも…。
本当に悲しく、申し訳ない気持ちで胸が苦しくなってしまう。

異文化を踏みにじった国とは違い、済州を誰よりも愛するアグネさん。
最後に済州に対する思いを話してくれた。

私が原都心に住みたい理由があります。ここが済州の始まりだと思うからです。
済州の全ての文化がここにあり、私は芸術家としてこの文化を広めたいのです。
済州の美しさを全世界に知ってもらえたらいいのではないかと思います。

アグネさんの済州への愛と芸術活動を、心から応援します。

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