モンタレーポップフェスティバルの映像を初めて観たときの事。
The Whoが演奏中からかなり暴走気味に見えて、
曲終わりでピート・タウンゼントがギターを舞台に叩きつけて壊し、
キース・ムーンはドラムセットを蹴っ飛ばし、ぶっ倒してしまった。
これに度肝を抜かれていたら、
その後に出て来たジミ・ヘンドリックスで更に倒れそうになった。
なにしろギターにライターオイルをかけて燃やして、
燃えるギターを舞台に叩き付け、バラバラにして客席へ放り投げたんだからね。
こんなのあり? と涙ぐんでいた16歳の俺であった(*´罒`*)
その年に第一回ワールドロックフェスティバルを観に行った。
お目当てはジェフ・ベックだったのだが、
彼がトリで出てくる前には、数組の日本のバンドが演奏した。
クリエイション、四人囃子、カルメン・マキ&OZ…
そしてそれはコスモス・ファクトリーと言うバンドの演奏終わりに起きた。
なんと、ベーシストが、弾いていたベースのネックを持って頭上高く差し上げたのだ。
あぁ…、これはモンタレーの映像で観た”アレ”ではないのか?
えーーーーーっ、本当にやっちゃうの?
次の瞬間!!
ベーシストは差し上げたベースを舞台にそっと置いて袖へと消えて行った。
何だよ、期待させやがって、意気地なし!!
一緒に観に行っていた友人と散々馬鹿にしたものだ。
しか~し、今なら分かるよ。
あれは俺達に対するメッセージだったんだと。
当時の日本のロックは黎明期で、
巷で流行り出していたフォークソングとは違って全く売れない音楽。
楽器メーカーは、売れていない音楽家にタダで楽器を提供したりしない。
音楽家自身は売れていないから金がない。
当時、ギブソンやフェンダーの楽器は、サラリーマンの月給の2倍以上。
やっとの思いで手にできた楽器を、一時の興奮で壊す訳にはいかないのだ。
つまり彼らはあの行為によって、日本のロックの現状を訴えていたのだ。
「もっと俺達の音楽を聴きに来てくれ。レコードを買ってくれ」と。
もう少し稼げるようになったら、派手な演出もできるんだぜ、と。
えっ?
そうじゃないの?
本気で叩きつけてしまおうとしたけど、
まだローンが残っていた事に気付いて思いとどまっただけだって?
いやはや、そっちでしたか (^^;
いや、どっちにしても、今なら分かるよ。
楽器は興奮して壊すものではありません ( ̄∇ ̄)v