ギターを始めて1年目位の中三の頃、
プロのギタリストみたいにギンギンのアドリブを弾けることを夢見ていた。
でもどうしたらいいのか全く分からなくて、
色んなギタリストの若い頃の練習方法を本なんかで調べてたら、
みんな自分の好きなプレーヤーのコピーをして、
そこから自分のスタイルを作っていったって書いてあった。
当時俺が好きだったギタリストはほとんど黒人ブルースギタリストの影響を受けていたので、
じゃあ、俺も♪ってことで、
最初はT・ボーン・ウォーカーやBBキングのレコードを買って来てそれらのコピーを始めた。
ところが当時の俺にとっては黒人ブルースは生々しくて濃くてちょっと取っつきにくかったのよね。
それで背伸びは止めて、素直に、その時好きだったクラプトンのコピーをしようと、
ただし、クリームより古い時代のクラプトン、
ブルースばっかしやってた頃のクラプトンをコピーしてみる事にして買ったのがこの2枚組アルバム。
タイトルは「ブルースの世界」。
聞いてぶったまげた。
他のどの時代のクラプトンよりも弾きまくってるのよ。
曲は全部ブルースで、クリーム時代みたいにプロデューサーに注文つけられて渋々弾いてる様な、
そんな甘っちょろいフレーズなんかは全く無し!!
出だしはオーティス・ラッシュの「オールユアラブ」。
ソロはワンコーラスのみなんだけど、
メジャースケールとブルーススケールを見事に使いこなして、完璧なフレージング。
盛り上げ方も、エンディングのフレーズも言う事無し。
これは全曲完全コピーするしかねぇ!!と、早くも1曲目でやられてしまったのだった。
続く2曲目は「ゼイ・コール・イット・ストーミー・マンデイ」。
これは正に白眉!!
ギターソロのフェイドインから始まるこの曲。鬼のようにこれでもかと弾きまくる。
スローブルースのギターソロはこうやって弾け!!ってー感じの1曲。
クリームで世界的に評価を得る前に、すでにクラプトンは完成されていたのだった。
なんと、この時まだ21才っすよ、あーた!!
3曲目の「ロンリー・イヤーズ」とB面2曲目の「ランブリン・オン・マイ・マインド」は、
カントリー・ブルースのエレキギター版とでも言うか、
ギター1本で歌のバックをやるんならこうやれ!! みたいな演奏が聴ける曲。
4曲目、フレディ・キングの曲「ハイダウェイ」と、B面の1曲目の「ステッピン・アウト」、
5曲目の「バーナード・ジェンキンス」は、インストブルースの教科書的な演奏。
トリッキーなプレイなんか無くっても、アイディアと歌心で深い世界を作り出せるというお手本だな。
その他にもバッキングの勉強になる演奏や、
オーティス・スパン、チャンピオン・ジャック・デュプリーというブルースメンとの競演、
当時クリエイションと言うバンドのリーダーでギタリストの竹田和夫氏の解説なんかも聞ける。
俺のギターの基礎はこのレコードによって作られたと言っても過言ではないなぁ。
1枚目は全曲完全コピーして、脂っこい所は今でも弾けるくらい弾き込んだ。
このアルバムは、ギターを弾かない人でも、ブルースに触れるにはいい入門になるだろうし、
クラプトンファンだったら是非聞いでもらいたい、クラプトンの原点、ここにあり!! の1枚だなぁ。