孤高の天才ジェフ・ベックの初期の秀作 “TRUTH”

高校生だった俺にギターの基本を教えてくれた師匠が3人いる。

アフロアメリカンのブルースをかみ砕いて表現してくれたエリック・クラプトン。
トリッキーでファンキーなロックギターの表現法を叩きつけてくれたジェフ・ベック。
エレクトリックギターを別次元の楽器に昇華してしまったジミ・ヘンドリックス。

全員大尊敬なのだが、その中で感覚的に俺に一番近いと思える人がジェフ・ベック。
その理由は、これは多分分かる人にしか分からない「共感覚」。
俺もジェフも数字で言うと、1、3、5、7、9…っていう奇数なんだな、これが。
詳しい話はここでは置いとくことにする。キリが無くなるから( ̄ー ̄)

さてその大好きなジェフ・ベックがヤードバーズを脱退して、
1967年にロッド・スチュアートをボーカルに迎えて結成したのが、
ジェフ・ベック・グループ(第一期)だ。
“TRUTH”は彼らの1枚目のアルバム。

他のメンバーも一応紹介しておこうかね。
ベースは、今はギタリストとして知られるロン・ウッド。
彼にとってはこのアルバムがメジャーデビュー作。
ドラムスはミック・ウォーラ―。
この固定メンバーの他に、ピアノでニッキー・ホプキンスも参加していて、
彼はその後に正式メンバーになる。

前置きがチョーーー長くなってしまったが、
さぁ、いよいよこのアルバムでのジェフの凄さを書くよ!!( ̄皿 ̄)

まず先に言っておくけど、ジェフのギターは全曲に渡ってバッキングがユニーク。
ただリズムギターを刻むとか、決まったリフを弾くとかじゃない。
もうバッキング自体がアドリブなのよ。

俺はこのアルバムのジェフのギターを完全コピーした。
だから隅々まで彼のやってる事が分かる。

とにかくねぇ、全曲で休む事無しにアイディアを出しまくってて、
ロッドの歌にはヘンテコリンなレスポンスを入れるし、
自分のギターソロのバックで弾いてる自分のサイドギターも笑っちゃうくらい凄いのだ。

バンドのコンセプトは、電気楽器vsそれに負けないボーカルみたいなもんだったが、
ここはひとつ、ロッドの歌は気にせず、ジェフのギターだけに集中して欲しい( ̄ー ̄)
ギターソロでは、バッキングのギターの方に耳を奪われてしまうこともあるw
こうなるともうツインリードギターだよね。

A-2のオリジナルブルース、”Let Me Love You”の歌へのユニークな返しも、
基本の構成はありながら、毎回同じって事は絶対にない。
歌の邪魔してんのか?!! ってくらいにトリッキーなことをやってるし 😀 
ギターソロも、所謂ブルースギターのそれとはタイプが全く違う。

発想が奇抜だから、その頃盛んに使われ出したワウペダルの使い方も独特。
A-3の”Morning Dew”然り。この曲はエンディングがまた面白い。
A-4″You Shuck Me”のイントロでのガマガエルみたいなワウサウンド!!

ダブレコのサイドギターも、繰り返しになるけど、
とにかく普通に刻むとかアルペジオを弾くなんて事は絶対しないww

 
70歳を過ぎても変わらぬ変態ギター小僧!!

B-2″Rock My Plimsoul“も全編に渡ってジェフの凄さに浸れるオリジナルブルースだ。
とにかくタイム間隔が凄いから、まともにアタマから入ったり、ピタッとケツで〆たりしない。
歌との絶妙な掛け合いも聞きどころだ。

B-3″Beck’s Bolero“は、正にボレロ形式のインストゥルメント・ナンバー。
ロックギター界で、当時これほどスライドギターを多用したギタリストはいない。
それもアフロアメリカンのブルースギタリストのコピーじゃなく、
完全にジェフ・ベックの音楽の為のスライドギターになっている。

この曲は、今でもライヴで弾いてて、よほどお気に入りなのか、
アドリブ部分の旋律は、ほぼ変えずに弾いてるんだよね。

圧巻はB-4のオリジナルスローブルース”Blues De Luve”ですな。
これはライヴ録音なので、ジェフの凄さがより伝わって来る。
歌のバック、ピアノソロでのバックの仕事に於ける変態ぶり\(^o^)/
そしてもちろんギターソロでの、正に全編これぞジェフ!!と言う素晴らしさ。
歌のラストコーラスでのイカレまくったバッキングは涙ものだ♪

アルバムの最後の”I Ain’t Sperstition”での
ワウペダルとスライドギターの組み合わせも絶品!!
他にもアコギで”Greensleeves”弾いてたり(これがまた泣かせるのよ)、
アフロアメリカンの苦悩を歌ったミュージカルナンバー”Ol’ Man River”での
心の底から溢れ出すようなスライドギターのフレーズが刺さる!!

ジェフ・ペックは、この当時はブルースを下地にした音楽をやってたけど、
この”Ol’ Man River”なんかを聞いてると、
次に彼が向かうソウルミュージックの匂いが既にしてるね。

ってなわけで、つまりは全曲ジェフのユニークなギターに浸れる作品なのよ。
「ロックギターを学ぶなら、これを聞け!!」なんてことは言わない。
自分らしくギターを弾くことの素晴らしさを感じたかったら聞いて欲しい。
ギター弾きでなくても、一人のギタリストの素晴らしい仕事を知って欲しい。 

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。