全羅北道の鷹匠

鷹匠(たかじょう)。
鷹を飼育・訓練し、野に放って野鳥やウサギなどの狩猟を行う人。
鷹匠が行う狩りの事を「鷹狩り」という。
日本にも鷹狩りはあり、それは百済の酒君(さけのきみ)により伝えられた。
ころはあの仁徳天皇の時代。

現在日本に残る鷹匠は一人。
韓国には二人の鷹匠がいて、そのうちの一人が、
「韓国人の食卓」(2011年3月17日放送)で紹介されていた、
全裸北道・鎮安郡の朴正午:박정오(パク・ジョンオ)氏である。
番組の主題は「雉の食卓」だったが、ここでは中で触れられていた鷹匠の鷹狩りを紹介したい。

ユネスコに登録されている、韓国無形文化財の鷹匠・朴 正午氏

番組では鷹匠の鷹狩りについての説明もあった。
狩りは鷹匠一人ではなく複数で行う。
周囲を見渡せる高台に鷹匠と見張りが立ち、
高台の下には声や物音で獲物を追い立てる勢子(せこ)を数名配置。

まず狩猟犬が雉の匂いを嗅ぎつけ尾を振る。

狩猟犬の尾の合図を目にした勢子が、すかさず勢い込んで雉を追い立てる。
追われて藪から飛び出した雉が鷹匠と鷹の目の前を横切る。
 

鷹匠が鷹を放つ。

雉(右)を追う鷹。

見事に仕留めた。

見張りが鷹と雉の着地した場所を鷹匠に知らせる。
鷹匠が現場に着くと、鷹が雉を押さえつけて羽を毟り始めていた。

このままだと雉の肉を食べ始めるので、鷹匠が右手に持った鶏肉で鷹を誘い…

鷹に鶏肉を食ませながら、左手で雉を背後に隠す。

これで今回の雉を相手の鷹狩りは終了だ。

集落に持ち帰った雉を料理する。
雉を大鍋で煮込み、茹で上がったら身は割き、骨は鍋に戻してさらに煮込む。
濃厚なスープが取れたら、丼に茹でたククスを盛り、熱々のスープを注ぎ、
ほぐした身とネギを載せて’꿩국수’(クォンククス:雉ククス)の完成~♪

さて、この鷹狩りだが、これには三不(3つの禁止事項)があると、
鷹匠のパク・ジョンオ氏が教えてくれた。
「雨の日、強風が吹く時、日没直前。その時は絶対に狩りをしません。
雨が降れば翼が濡れるからやらず、
風が強く吹く時はキジを追って行って強風に羽根を煽られ
鷹がひっくり返れば、キジを追わずに遠く飛んでいってしまうんです。
その時は鷹を逃します。
日没直前の場合は、日陰のようなところに鷹が飛んだら見えません。
だから絶対に狩りをしないんです」

 
1日の内に鷹を手から離すのは、食事の時とトイレの時のたった二回だけだという。
「それ以外の時間はずっとそばにいて鷹と交流するのです」と話す鷹匠。
見事な連携の鷹狩りは、鷹と鷹匠の間の愛情と信頼があってこそ完結するのだろう。
鎮安郡の鷹匠が教えてくれたのは「愛情と信頼」の大切さだった。

イスラエルよ、いますぐ虐殺は止めよ!!
パレスチナに平和を!!

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