あれは44年前

遠出をしてコンサートの観衆の一人になった1980年の夏と冬。
夏は札幌真駒内屋外競技場でスタンリー・クラークバンドを。
冬は武道館でジェフ・ベックグループを観たのだった。
武道館の方は「騒音にまみれた」と言う感じだったが。
そのくらい武道館の音響は酷かった。

さて、俺は少し前から音楽家の誕生日に因んでブログを書いているが、
今日、2月6日は、ドラマーのSimon Phillipsの誕生日。
前出の二つのコンサートでのドラマーは、どちらも彼だった。
当時は日本で名前が売れ出した凄腕の若手ドラマーで、
見た目も確かに若かく年下に見えたが、実際は俺より二つ上だった。

札幌の方はスタンリーが鑑賞の主目的だったが、
バンド仲間で話題になっていたサイモン・フィリップスも大いに気になっていた。
ところが今となっては、確かに噂通り上手かったという記憶はあるものの、
やけに深い胴のタムタムの映像の方が脳裏に濃く焼き付いている。

いやぁ…。もっと言ったら、
当時の若造にとっては大枚はたいて泊りがけで遠出して観たコンサートなのに、
それよりも他の事の方が鮮明に思い出されるのが悲しい。

札幌へは、当時俺らのバンドでベースを弾いていた2つ年上のTさんの車で出かけた。
中山峠は避けたいからと、遠回りの小樽経由で函館から札幌真駒内に向かう。
開園時間が近づくも、小樽市内は夕方の渋滞でなかなか進まず。

途中で立ち寄ったガソリンスタンドの従業員にTさんが聞いた。
「6時半までに苫小牧に行きたいんだけど、ここから何分くらいかかりますか?」
「え~っ、苫小牧? 「何分」じゃ無理だわ。5時間くらいかかるっしょ」
はい。もう皆さんお気付きだと思うが、
Tさんは真駒内を苫小牧と言ってしまったのであった (*´罒`*)

さぁ、では武道館でのサイモンはと言うと…
これ、既に書いてもいるが、音響が悪過ぎた。
席も2階席しかとれなくて、前半はもう全部の音が天井でワンワン響いてるだけ。

耐えきれずに1階に下りて通路で立ち聞きするも、今度は頭上で音が散って聞き取れない。
主役のジェフ・ベックのギターも何やってるんだか分からないほど。
結局「金返せ!!」状態で鑑賞を終えたのだった。
何しろ往復寝台車で行ってるからねぇ。とんだ散財さ。

この時もコンサート以外の出来事の方が記憶に残っている。
翌朝、泊めてもらった東京住まいの友人宅で出た手料理。
ベーコン入りの野菜炒めだったが、物凄く美味い。

レシピを聞いたら「使ったのは中華味とオイスターソース」だと言う。
当時から料理好きだった俺が、
「中華味ってまだ使った事ない。今度使ってみる♪」と、
その友人に向かって言った記憶とか…

渋谷の、名前は失念したが楽器店の前を歩いていたら、
店のスピーカーから、ひと月ほど前に発売になった”Starting Over“が流れていた。
その数日後にジョンが亡くなるなんて想像できるはずもなく、
「あ、ジョンの曲だ」とつぶやきながら坂を登っていた記憶とか…

上野から乗った帰りの寝台。
一緒に行ってたバンド仲間と、音が悪かったコンサートの憂さ晴らしに、
ビールとワンカップを沢山買って、うな重弁当を肴に飲んだ記憶とかね。

44年も経てば、そんな事に成ってしまうものかも知れませんな。
金をかけて記憶に残そうとしたことよりも、
その周りの事の方が鮮明に思い出となって残っている。
それで良かったんだね。
でしょ? サイモン (^^;

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。