外国人が愛した韓屋(hanok)

伝統的な韓国式家屋の事をハングルでは’한옥’、漢字では「韓屋」と書く。
「韓屋」は、日本語式で読むと”kan-ok”だが
韓国語では、韓:한:han-屋:옥:okとなり、
続けて読むとnとoが連音化して’hanok’となる。
韓屋=hanok。

大都会である首都ソウルの都心にほど近い三仙橋(삼선교:samsöngyo)は、
かつては韓屋の密集地であったが、再開発などで少しずつ撤去され、
高層マンションが建てられるようになった。
しかしその波にのまれることなく残っている韓屋があった。

都会にひっそりと
2019年11月2日放送の「キム・ヨンチョルの洞内一周」。
その三仙橋を散策中のヨンチョル氏が、開かれた大門がある事に気付く。

そっと中を覗いてみると二重の門になっている。

奥にあるはずの韓屋見たさに’이리 오너라!!’(たのもう!!)と史劇風におどけながら、
中へ入って行ったヨンチョル氏が目にしたのは…

庭の中央で箒を持って立つ外国人の姿。

家主はアメリカ人
「大門が開いていたので入ってみたら、庭が本当に綺麗ですね」とヨンチョル氏。
「あぁ、今掃除をしていました」と答えたのは家主のPeter Bartholomewさん。

韓国で暮らし始めて40年になるピーターさん。韓国語は「少し話します」だとか。
(ピーターさんは以後、韓国語しか話さなかった(*´罒`*))
そのピーターさんの説明によると、この家は1935年に建てられたものなのだそうだ。

建物も庭も「安らぎ」を感じさせる佇まい。

重厚と言う言葉がピッタリの屋根瓦。

「家の中を見学させてください」と言うヨンチョル氏に、
「チケット売り場が無いので、入場料をいただきます」とおどけるピーターさん。

小さな博物館
ピーターさんが家に入ってまず最初に紹介してくれたのが、
韓国語で’대청마루’(dechyöngmaru)と呼ぶ板敷きの間。
ここに座ると家の全体を見渡せて、庭園も眺める事が出来るので、
一番好きな場所、自分にとっての天国なのだとか。

続いて隣の部屋に行き、床板を剥がし出したピーターさん。

現れたのは、ソウルではほとんど見られなくなった現役のオンドルだ。
 
焚く時にうつぶせになって息を吹き込むのはしんどいが、暖房効果は抜群なのだそうだ。
韓国の昔の様式をそのまま秘めた家である。
家具調度品は、全てピーターさんが集めたもの。


中には作られてから100年以上も経つものもあり、この家はまるで小さな博物館。
さて、ピーターさんは、なぜこんなにまで韓屋が好きなのだろうか。

何故韓屋が好きなのか?
不便じゃないのか? とよく聞かれますが、心が楽なのです。
何故なら、使われている材料が全部自然の物です。
木、石、泥、瓦、紙…。
昼間働いてストレスが溜まっても、家に帰って板の間に座れば、
ストレスが解放されて心が安定へと向かう。
これが本当にいいところです。
と、語るピーターさん。

韓屋愛
50年前、韓国旅行中のアメリカ青年が、偶然江陵の宣教場に泊まる。
そこで過ごした5年の時間が彼の人生を変えた。

その日から40年以上も韓屋に住んでいるピーターさんは、
韓屋がだんだんと都心から消えていく事を悲しんでいる。
ピーターさんは語る。

周辺の韓屋が一つずつ撤去された時、とても寂しくて残念でした。
韓屋が持っている文化的独自性を、今の韓国の子達は見ることも感じることもできません。
「民俗村に行けば韓屋を見ることができる」と言いますが、とんでもない話です。
私たちの暮らしの場に韓屋が残っていてこそ、それを理解して感じることができるのです。

ヨンチョル氏はビーターさんの韓屋や韓国文化に対する愛情に感動していた。
「これからも末永くこの韓屋を守り続けて下さい」と別れの握手。

韓屋は勿論だけれど、文化として受け継がれ、後世に残るものは、
人の心に安らぎを与えてくれるものではないだろうか。
そしてそれは、命や暮らしそのものに密着したものであり、
「自然」により近い物に違いない。
キラキラしたものや、便利さや、資本主義や、戦争の対極にあるものだよね、きっと。

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