個性溢れるふたつのククス

韓国語習得からの延長で、韓国料理が好きになり、
韓国のテレビ番組で勉強させてもらっている。
好きな料理は色々あるが、
日本には無いククス(국수:kuksu=麺料理)文化には惹かれる。

で、このククスも、キムチと同じ、とまではいかないが、
かなりの種類がある事は分かった。
しかしここで紹介する2つのククスは今まで知らなかったもの。
2019年10月5日放送の「キム・ヨンチョルの洞内一周」で、
ヨンチョル氏が大田市を散策していた時に出会ったお店のククスだ。

思い出の味・オジンオククス
まずはオジンオククス(오징어국수:ojingö-kuksu=イカ麺)から。
オジンオククスと聞いて、函館で生まれ育った俺がすぐさま想像したのは、
イかを細く切ってタレをつけて食べるイカソーメン。
もしかしてそれなのだろうか?

家族で営んでいると言うお店に入ったヨンチョル氏。
店内にはメニュー板は無し。なんとオジンオククス一本やり!!
さっそく一本で長年店を支えてきたオジンオククスを注文。

注文を受けたオモニが向かった先は厨房裏手の倉庫のような部屋。
そこに置いてある樽の蓋を開けると、チョンガクムーの漬物が!!
チョンガクムーと言うのは、キムチにも使われる小ぶりの大根。
でも、これはチョンガクキムチではないね。

オモニが説明してくれた。
1年熟成させたチョンガク大根です。
生姜、にんにく、塩、唐辛子粉だけ入れます。
塩辛を入れると大根が柔らかくなるので入れません。

なるほど。ほんのり辛味のある、熟成したチョンガクムーの漬物なのか。
それを刻んで…

フライパンで炒めて…

秘伝のヤンニョムと唐辛子粉を加えて…

お~っと、ここにイカが登場だ。
イカで作った麵ではなく、刻んだヤリイカだった(*´罒`*)

よく炒まったところにスープを注いで煮込む。

そして完成~\(^o^)/
…の様だが、肝心のククスが入っていないのでは???

旦那さんに教わった作法通り、チョンガクムーの漬物とイカを一緒に頬張ってみる。
「昔自分の母親が作ってくれたよく煮込んだキムチチゲを思い出しますねぇ」

半分ほど食べ進んだところで、いよいよククスが投入された。
これでオジンオククスの本当の完成となる訳だね ( ̄∇ ̄)v

チゲなどを食べていて「すみません。ここにククスを入れて下さい」と注文する形ではなく、
最初から「後乗せククス」という食べ方のものがあるのかぁ。知らなかった。

大田の人達だけが知るククスの味。値段は安くて量はタップリ。
昔、懐が寂しかった労働者達がお腹を満たす事の出来た懐かしいチゲの味。

さて、麺が無くなったら、〆はこれ。ご飯をいれて볶음밥(pokkumpap:炒めご飯)だ。
「昔はこの鍋の上でスプーン戦争が起きたものです」とヨンチョル氏。

オモニが独自に開発した、どこか懐かしさを感じさせるオジンオククス。
今はお腹ではなく、心を満たしに来るお客さんで店は賑わっていた。


姉妹で受け継ぐ母の味・ピリ辛ククス

ヨンチョル氏が次に訪れたのは、この看板がある店。
「申し訳ありません。材料切れにつき、4時から食事ができます」
イラストの女の子が「あり得ない!!」と怒っている。

材料切れするなんて、繁盛している店に違いないと引き込まれるように店内へ。
「休憩中だったんですが、いらしてくれたので一杯お作りいたします」と店主さん。

店主さんのお母さんが一人で30年間切り盛りしてきたお店だったが、
6年前に病気で亡くなり、その後を娘である自分と妹が継いでいるのだという。
店の看板は「粉食店(軽食店)」だが、実はカルグクスのお店。

お母さんの味を受け継ぐために一番最初に習ったのは出汁の取り方。
母が病床で渡してくれた小さなメモには、出汁の秘法が書かれていた。

店主さんが語る。
カタクチイワシとサッパ(ママカリ)を入れると淡泊な味がします。
母が使っていた材料をそのまま入れるんです。
母の味をそのまま維持しようと思って。

きれいに洗って干したネギの根と、更に昆布も加えて、なんと半日も煮込む。
真心のこもった出汁だ。
お母さんは、この出汁が完成して初めて店を開けたのだそうだ。

その出汁に、店独自のヤンニョムと唐辛子粉、おろしニンニクを投下。
辛いスープに仕上げる。

そして、おーっ、ここにククスを入れてしまうんだなぁ。
お客さんから注文が入るたび毎にスープで直接麺を茹でる方式。
麺にスープの味をしみ込ませるのだそうだ。

茹で上がった麺を器にとり…

ピリ辛のスープを注いで…

オルクンカルグクス(얼큰칼국수:ölkünkalgukssu=ピリ辛ククス)完成~\(^o^)/
一人では食べきれないほどの麵の量。

大田で育った人で、オルクンカルグクスの味を知らない人はいないのだとか。
このククスにもまた独特の食べ方がある。

春菊をたっぷりのせて、麺に絡めて頂くのだそうだ。

一口食べてみたヨンチョル氏。
「春菊の濃厚な香りと辛いカルグクスが本当によく似合いますね」

病院にいる間中、店に行ってククスを作りたい、
お客さんをお迎えしたいと言っていたお母さん。
仕事場と言うより、お母さんの人生そのものだった店。

四人の兄妹を育てながら店を切り盛りしていた母の苦労と愛を感じながら、
今は娘さんたちがその店をしっかり守っている。

個性あふれる大田の二つのククス。
俺にとっては知らない種類のククスだったけど、
大田の人達にとってはどちらも親しみのある食べ物だったんだね。
そしてどちらもチェーン店の様に機械的に造られるものとは違う
作り手の思いがこもった深い深い味わいがあるのだろう。

食べてみたいです (* ̄¬ ̄)

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